ドクターズVoice
2022.5.10
「臍帯血バンク」について
臍帯血バンクとは
胎児が成長し生きていくために必要な酸素と栄養、これらはすべて臍帯(へその緒)を通ってお母さんからお腹の赤ちゃんへ送られます。
このへその緒は、生まれた直後に切断され、残ったへその緒の中の血液(=臍帯血)は不要となり、通常は捨てられてしまいます。
臍帯血バンクが注目される理由
造血幹細胞とは臍帯血の中には多くの造血幹細胞が含まれます。この造血幹細胞はあらゆる血液の細胞に分化することができるため、重篤な血液疾患の方に移植することにより、治療として役立ちます。
これらの造血幹細胞は、骨の中心部にある骨髄中にも含まれ、骨髄移植でも利用されますが、採取のために麻酔や注射が必要であり、コロナ禍で数が減少してしまっています。
そのため、痛みも全く伴わない臍帯血バンクが注目されているのです。
また、臍帯血から採取される造血幹細胞は、骨髄からの造血幹細胞と比較して、移植による移植片対宿主病(GVHD)の副作用が軽くなることが分かっています。
当院の取り組み
当院は公的臍帯血バンク提携参加施設で、採取された臍帯血は、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫等の疾患の方々に提供され、治療に役立っています。
これらの功績より、令和3年10月に厚生労働大臣より感謝状を頂きました。
文責 産婦人科専門医 小石麻子