皆さんご存知の通り、現在日本人の死因の第1位はがんによるもので、2021年の統計では全死因の26.5%、4人に1人はがんで死亡したことになります。
がんは早期発見により治療が可能なものも多く、そのため定期的ながん検診が必要になります。
しかしがんの中にはウイルス感染が原因となるものがいくつかあり、予防ができる事はご存知でしょうか。
例えばB型肝炎、C型肝炎などが知られていますが子宮頸癌もウイルスが原因となるため予防がとても重要です。
HPV(ヒトパピローマウイルス)
子宮頸癌の原因となるウイルスはHPV(ヒトパピローマウイルス)といいます。
HPVの感染は性交渉によるもので、性交経験のある女性はほとんどがHPVに感染するといわれており、珍しいものではありません。
そしてHPVは約200種類のタイプがあり、その中でもHPV16,18,31,35,45,52,58型などが子宮頸癌と関係の深い“ハイリスクタイプ”です。
そのためHPVの感染を予防するためのHPVワクチンが開発されました。
HPVワクチン
予防ですから、日本では小学6年生から高校1年生の女子に助成がありますが、性交渉を経験したから効果がないわけではなく、また医学的には男性の接種も有効です。
世界的には2007年(15年も前です!)からHPVワクチンの接種が開始され、今では90か国以上で定期接種ワクチンとなっています。
HPVワクチンを積極的に接種している国ではワクチン接種を受けた世代の女性における子宮頸癌の発生数はおよそ90%減少しており、特にオーストラリアでは2013年からは男女ともに定期接種となり、2028年までには、子宮頸がんが10万人に4例未満まで減少し、さらに2066年には10万人に1例未満となり、先進国の中でも子宮頸がんを撲滅する最初の国になると予測されているのです。
次回は現在の日本のHPVワクチンの状況についてです。
産婦人科専門医 小石プライヤ 奏子