新生児の発達とマスク
コロナ禍以降のマスク生活は、赤ちゃんや子ども達にどのような影響があったでしょうか?
胎児期と新生児期の感覚の大きな違いは、視力により様々な現象を自覚しながら脳が発達することです。特に出生直後から1歳までに脳の重量は急激に増加します。
環境による脳の発達で、最も影響を及ぼすのは他者の顔の認識からヒトとして社会性を身に付けることで、それが生涯の特性の基盤になるといわれています。
生まれてすぐの赤ちゃんは顔のどこを認識するかというと、その配置を認識しています。すなわち目、鼻、口が顔にきちんと並んでいることが大切であり、マスクはこの赤ちゃんの認識を困難にしてしまいます。
生まれてから36時間で赤ちゃんは人の表情を認識することが分かっており、わずかながらですが、その相手の表情を口元で真似していることも確認されています。赤ちゃんは相手の口元に注目して、口の動きと聞こえてくる声により相手を認識し、それを真似しながら言葉を獲得し、脳の発育と人との繋がりを得ていきます。
コロナ禍以降、マスクにより人と人との感情を共有、共感することが阻害され、「コミュ障」という言葉が使われるほど、子どもたちのコミュニケーションスキルの低下が問題になっています。そして、少子化で子どもの人数は減少しているにも関わらず、児童精神科受診が大幅に増加している問題も指摘されています。
出産後の入院中に既に赤ちゃんは、ママやパパや様々な人々の顔や表情を認識しながら脳を育てています。
このような理由から、当院の病棟ではマスクを外してしっかりと母児の皆さまと向き合い、よりよいお子さまの成長のための育児を支援していくことを大切に考えます。
体調の問題ない方であれば、産後の入院中の面会制限もありません。
育児を応援してくれる様々な人達が、生まれた赤ちゃんにたくさんの笑顔を見せてあげることで、赤ちゃんはその表情を真似して笑顔いっぱいで、母児の絆も深く、社会性に富み、脳のよく発達したお子さまに成長されるでしょう。
どうぞ当院の意向にご協力下さい。
(感染症の可能性がある場合は、隔離やマスク対応をさせて頂きます)